炎

多様な焼き物の生産を可能に
1300度の炎が生み出す信楽焼の魅力
緻密な酸素量の管理と温度コントロールが焼き物の表面を彩ります

酸素を充分に吸い込ませ、土の中に含まれる鉄が「酸化」することで、信楽の特有の火色が出ます。一方大量の薪をくべ、窯の中の空気の取り入れ量を制限し、鉄を「還元」させると、金属系の釉薬は銅色になります。他にも薪の材質や乾燥具合、湿度、天候などを見極めるためには熟練の知識と経験が必要とされます。

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穴窯

穴窯は、山の斜面に沿ってトンネル状の穴を掘って作ったものを指します。穴窯の構造は、斜面の下部を焚口とし、斜面にそって順に品物を並べていきます。炎と熱は斜面に沿って上へと登り、上の口から抜けていきます。
古代、日本に普及した朝鮮式土器や、焼成時に酸素を少なくしていぶし焼きにし、炭素の多い鼠色に焼き上がる須恵器なども穴窯を利用して造り出されていました。

登窯

穴窯のトンネルドームを大型化し、焼成室を何段にも重ね一度に大量の品物が焼けるようにしたものを登窯といいます。薪を燃やして炎をおこす「火袋」とやきものを焼く「焼間」を分離することで熱を合理的に蓄え、燃焼の火が直接あたらないことで不良品率を抑えることができるなど、生産性の向上に貢献しました。
明治、大正時代までは「根子」と呼ばれる、焼け具合を焼成中に取り出して見るものを供えたり、焼きものが火の前に向かって倒れてくる具合を見て職人の「勘」で焼き上がりを決めることもあったそうです。

参考:『絵で見る信楽焼』 絵と解説・冨増 純一 発行・信楽古陶愛好会


現在明山窯で使用しているガス窯の特徴

代々受け継がれてきた穴窯・登窯での焼き上がりの特徴をしっかりと残したまま、高さ2メートルあまりの大型作品も焼成できます。窯内の面積も広く、一度に大量の焼きものを焼成することができます。

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