歴史

腰白茶壺(献上茶壺)

2代将軍徳川秀忠が信楽の長野村に茶壺を注文したのを機に、将軍家及び朝廷御用として信楽茶壺が用いられるようになりました。毎年新茶の季節になると、壷には宇治の献上茶が詰められ、かごに乗って江戸まで運ばれました。その前後左右には馬50頭とともに役人400人が付き、幕府の権力を誇示したといわれます。これをお茶壺道中と言い、壷は「お茶壺さま」(ご用茶壺)と呼ばれました。その様子は、童歌「ずいずいずっころばし」というかたちで今にも伝わっています。
「腰白茶壺」や「信玄壺」とも称される献上茶壺は、上部が茶褐色の鉄釉と下部が並白釉の掛け分け、内部は無釉、四耳壷、という規格に定められていました。焼き上がりに至までの工程には高い技術が求められ、100個焼いても1個ぐらいの割合でしか献上できるものは作れなかったといわれます。作者も決まっており、古くは石野伊助が、文政年間からは小川善右衛門が焼いたという記録が残っています。そのようにつくられた茶壺は「信楽焼の茶壺にお茶を入れると、長い間湿気を帯びず良い香りが失われない。」と評判になり、諸国の大名たちも信楽に茶壺を注文するようになりました。

茶壺-人写真
茶壺sub

朝鮮通信使

朝鮮通信使使節一行の食事に使われる食器(陶器)を、信楽で焼いたという記録があります。文化7年(1810)の古文書には、信楽長野村の陶工・石野伊兵衛がその300余名分の食器の注文を受けたことのほか、それら食器の寸法や形状、数といった仕様が絵図と共に詳細に記述されています。
それによると、注文の品は中皿750枚、小皿350枚、焼物皿350枚、小猪口150個、大猪口2100個、汁物碗150個、食櫃75個、杓子75個等々、16種4,300点におよびました。用いられた土は極上のもので、信楽焼にしては薄く整えられ、白い並白釉が施されました。その作風は、当時の李朝のやきものを参考にしたとも言われています。


通信使食器図
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明山窯 大正〜戦後のあゆみ

大正時代に人気だった海鼠釉(なまこゆう)の火鉢の大量生産を可能にするため、石野里三は仲間と協力し、石膏型を使った「機械ろくろ」を開発しました。
この「機械ろくろ」で生産効率と品質も向上し、広く信楽焼の発展に貢献し、今日では多くの窯元へ普及しています。
後年、その里三の妻こよしのエッセイが朝日新聞で連載されました。

その後を受け継いだ石野明は、戦後からの復興と事業の立直しを目指し再スタート。
貧しい状況の中でも、やきものづくりにひたむきに取り組み、数人の職人たちと力を合わせ見事再建を果たしました。1980年には事業を法人化し、さらなる飛躍のための礎を築きました。


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明山窯年表

1274年頃 中世六古窯のひとつである信楽焼発祥
1622年 石野伊助が江戸幕府二代将軍秀忠の命により茶壺(腰白茶壺)を献上、お茶壺師の称号を賜る
1810年 朝鮮通信使接待用食器を江戸幕府より受注、製造(初代 石野伊兵衛)
1908年 屋号をマルイシとし、マルイシ石野製陶所を立ち上げる
1921年 五代目石野里三により石膏型機械ろくろが開発され、信楽焼全体の振興に貢献する
1954年 屋号をマルイとし、マルイ石野製陶所と改名(主力製品:花器・花瓶)
1965年 石野里三の妻こよしのエッセイが朝日新聞で10回にわたり連載される
1966年 それまでの登り窯に代わり、電気窯の導入
1968年 ガス窯を導入し、日本の高度成長期に向けた設備の拡充、近代化
1980年 明山陶業株式会社として法人化(主力製品:花器・花瓶)
1992年 ふくろう置物・陶製雛人形(陶雛)の商品化
1997年 陶製五月人形・兜(陶兜)の商品化
2002年 陶照明の商品化
2004年 焼酎サーバーの商品化
2005年 信楽焼の情報発信ツールとして自社HP開設、IT事業部設立
オーダーメイド兜(家紋・名入)の商品化
2008年 信楽陶器総合展 優秀賞(エコなシリーズ陶ころ)
2009年 信楽陶器総合展 優秀賞(陶水槽)、信楽焼専製権を取得
2010年 信楽ライフセラミックス展において デザイナーとのコラボ作品の開発・出展
Ogama改修プロジェクト(登り窯の再生・保存)開始
明山窯実店舗Ogamaとしてオープン
しが新事業応援ファンド助成金採択事業『近江夏の風物詩(ここくらし)』
2011年 信楽陶器総合展 優秀賞(陶かっさプレート)
信樂透器(県有出願特許権)の開発、商品化
「となりのトトロ 信楽焼」の商品化
2012年 国際見本市interiorlifestyle TOKYO 出展
「幕府献上腰白茶壺」「朝鮮通信使饗応食器」を復刻・発表
クリスマスグッズの商品化
「明山窯と日本の伝統工芸シリーズ」陶雛人形の商品化
「となりのトトロ 信楽焼 箸置き・ほんのり灯」の商品化
小ロット多品種に対応するためガス窯を新築
2013年 「明山窯と日本の伝統工芸シリーズ」兜の商品化
オーダー食器・蚊遣り器・スマートフォン拡声ホルダー「music-pot」の商品化
Ogamaが滋賀県「kokocoolマザーレイクセレクション」及び甲賀市「甲賀ブランド」に認定
2014年 石野伸也が代表取締役社長に就任
Ogama 2013年台風24号により破損した登り窯大屋根を復旧
2015年 陶雛人形・兜商品の見直し
Ogama陶芸教室をオープン
2016年 「となりのトトロ 信楽焼 フリーカップ緑/白」「千と千尋の神隠し 信楽焼 カオナシ」の商品化
ハロウィングッズの商品化
Ogama店舗ロゴマークの更新
2017年 「となりのトトロ 信楽焼 一輪挿し」の商品化
ACTUS定番食器の商品化
雛人形・兜ブランド「いわい」の商品化
社名ロゴマークの更新
オンラインショップリニューアル